個人所得税とは？英国の制度と日本の違いをわかりやすく解説

個人所得税は、個人の所得に対して課される税金です。実は、この仕組みは国によって大きく異なります。例えば、英国では最近、この個人所得税の非課税枠（基礎控除）を大幅に引き上げるべきだという議論が巻き起こりました。しかし、政府は慎重な姿勢を示しています。そこで、本記事では英国の制度を例に、個人所得税の基本と日本の制度との違いを解説します。

英国の個人所得税と「パーソナル・アロワンス」

英国の個人所得税制度には、「パーソナル・アロワンス」と呼ばれる基礎控除が存在します。これは、納税者が税金を支払うことなく得られる所得の上限額を指します。したがって、年間所得がこの金額以下の場合、所得税は課されません。現在の控除額は12,570ポンドです。詳しくは英国政府の公式サイトで確認できます。

しかし、この控除額は2028年まで据え置かれる予定です。そのため、賃金が上昇しても控除額が変わらず、実質的な増税となる「ステルス税」であると批判されています。

基礎控除引き上げを求める声

このような状況から、英国議会のウェブサイトで基礎控除を20,000ポンドへ引き上げるよう求める請願が開始されました。この請願は多くの共感を呼び、結果として59万件以上の署名が集まりました。なぜなら、控除額の凍結は国民の生活に直接影響を与えるからです。例えば、インフレで名目賃金が増えても、控除額が固定されているため課税対象者が増えてしまいます。つまり、生活が苦しくなるのです。

政府の慎重な姿勢とその背景

多くの支持を集めた請願でしたが、政府は財政への影響を懸念し、計画はないと回答しました。この改革には、年間で数十億ポンド規模のコストがかかると試算されているからです。もし実施すれば、税収が大幅に減少し、公共サービスの資金が不足する恐れがあります。一方で、政府は経済の安定と財政責任の回復を最優先事項としており、大規模な減税は困難だと結論付けました。この決定は、国の経済基盤を固めるという合理的な判断に基づいています。

日本の個人所得税制度との比較

ここで、英国と日本の個人所得税制度を比較してみましょう。日本の個人所得税にも「基礎控除」があります。合計所得金額が2,400万円以下の納税者の場合、控除額は48万円です。この点については国税庁のウェブサイトで詳しく解説されています。一方、英国の12,570ポンドは日本円で約240万円に相当します（1ポンド=190円で計算）。

一見すると英国の控除額が非常に大きいように見えます。しかし、両国では物価水準や社会保障制度が異なります。さらに、日本には給与所得控除など他の控除も存在します。そのため、単純な金額比較だけでは優劣は判断できず、それぞれの国の経済に合わせた個人所得税の制度が設計されているのです。関連記事：確定申告に関する記事はこちら

今後の見通しとまとめ

今回、英国の基礎控除引き上げ案は見送られました。しかし、国民の関心は依然として高いままです。なぜなら、控除額の凍結による負担増は、多くの世帯にとって切実な問題だからです。そのため、今後も税制改革は重要な政治テーマであり続けるでしょう。個人所得税のあり方について、より深く知りたい方はWikipediaも参考になります。

結論として、個人所得税は私たちの生活に直結する重要な制度です。政府は将来の「財政イベント」で税制を見直す可能性を示唆しており、納税者は引き続き政府の発表を注視する必要があります。経済状況次第では、将来的に負担軽減策が打ち出されるかもしれません。

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